お母さんからの移行抗体

クリニックにきてくれる子供たちの笑顔に元気をもらっている院長淺野です。

4月に保育園に通い始めたお子さんが風邪をひいて多く来院されます。

保育園に通い始めるとしばらく風邪を繰り返し繰り返しひきます。

なぜでしょう?

生まれたての赤ちゃんは、へその緒を通じてお母さんから免疫(移行抗体)をもらいます。また、初乳をご存じでしょうか。これは在胎週数に関係なく、生後3日間に分泌される母乳のことです。ここには大量の分泌型のIgAが含まれています。初乳を赤ちゃんが飲むと、腸管の表面を覆って感染を防御してくれます。このように赤ちゃんが病気にならないのは、すべてお母さんからの抗体があるからです。

図1を見ても分かるように、出生してしばらくはお母さん由来の移行抗体が赤ちゃんを守ってくれます。徐々に減少し1歳までにはなくなってしまいます。その後は自前で作り出した抗体(IgM・IgG・IgA)で襲い掛かってくるウイルス他と戦わなければならないのです。しかし、図の通りしばらくはその産生が追いつきません。この時期に保育園に通い始めると移行抗体がなくなっていますが、自前の抗体はまだ不足しており、風邪を繰り返し繰り返しひくことになります。 6歳ぐらいになると成人とほぼ同じレベルの抗体を持つようになり、風邪をひかなくなります。

新型コロナウイルス感染症の患者様が目に見えて減ってきました。今後の展開は中々予見できませんが落ち着いてくれると良いのですが