おしゃぶり

バスケットボールのワールドカップ、ラグビーのワールドカップとスポーツイベントが目白押しです。更に盛り上がりそうですね。

おしゃぶりは良いのか悪いのかとご質問を受けます。

おしゃぶりのメリット・デメリットをあげてみます。

メリットとしては精神的安定、簡単に泣き止む、静かになる、入眠がスムース、母親の子育てのストレスが減るなどが挙げられます。おしゃぶりの宣伝に使用されている「鼻呼吸や舌や顎の発達を促進する」は現時点では学問的に検証されていません。  

欠点としては習慣性となりやすく、長期間使用すると噛み合わせが悪くなる、子どもがどうして泣いているのかを考えないで使用する、あやすのが減る、ことば掛けが減る、ふれあいが減る、発語の機会が減るなどが挙げられます。  

5-6か月以降の乳児はなんでも口ヘもっていってしゃぶります。これは目と手の協調運動の学習とともに、いろいろのものをしゃぶって形や味、性状を学習しているのです。おしゃぶりを使用していると手で掴んでも口ヘ持っていくことができず、このような学習の機会が奪われることになります。親の働きかけに対する声出しや、自分からの声出しもできなくなります。おしゃぶりは一度使用すると長時間にわたり使用する傾向があるので、発達に必要なこのような機会が失われることが問題になる可能性があります。しかしおしゃぶりが、愛着形成を阻害するという意見については学問的根拠はありません。  

噛み合わせの異常は2歳頃までに使用を中止すれば発育とともに改善されます。従っておしゃぶりの害は乳臼歯が生え揃い、開咬(上の歯と下の歯がぴったりとくっつかなくなります)や乳臼歯交差咬合(奥歯が左右にずれます)などの噛み合わせの異常が存続しやすくなる2歳半から3歳過ぎになっても使用している場合に発生すると言えます。

メリット・デメリットを勘案すると、おしゃぶりは出来るだけ使用しない方がよいが、もし使用するなら咬合の異常を防ぐため、情緒の発達を促すために、次の点に留意する必要があります。

(1) 発語やことばを覚える1歳過ぎになったら、おしゃぶりのフォルダーを外して、常時使用しないようにする。

(2) おそくとも2歳半までに使用を中止するようにする。

(3) おしゃぶりを使用している間も、声かけや一緒に遊ぶなどの子どもとのふれあいを大切にして、子どもがして欲しいことや、したいことを満足させるように心がける。

(4) おしゃぶりだけでなく指しゃぶりも習慣づけないようにするには、(3)の方法を行う。 (5) 4歳以降になってもおしゃぶりが取れない場合は、情緒的な面を考慮して医師に相談する。

夏の高校野球が始まります。楽しみです。