お子さまの発熱について

クリニック看護師です。当クリニックでもCOVID-19 に関わらず、お子さまの発熱が増えています。ご家族もお子さまの発熱にとてもご不安なことと思います。

子どもの高体温の原因の中にはいわゆる病気による「発熱」と熱の放散障害による「うつ熱」があります。病気による発熱のほとんどは「かぜ」などのウィルス性の感染症によるもので予後がよいものが多いのが特徴です。その他の発熱の要因としては中耳炎や尿路感染症などがあります。

またうつ熱とは、熱が体内にこもってしまった状態のことを指します。高温や多湿、掛物のかけすぎや衣類の着込みすぎなどの環境要因によって発熱するものです。

少し子どもの免疫についてお話させていただきます。子どもはお母さんから骨盤由来によって免疫グロブリンIgGという免疫をもらって生まれてきます。この免疫が作用するため、6ヵ月未満の子どもは熱をだしにくいという特徴があります。けれども、生後6ヶ月くらいすると徐々に免疫が薄れてきます。そして、いろいろなウィルスや病原菌と戦うために熱を上げて抵抗力を強くしていきます。子どもの発熱は、病気と闘うための抵抗力をつけるために、必要な経験になります。逆に熱が出ないと、病気の経過が長引いてしまうことがあり、どちらかと言えば熱は味方だと考えてください。抵抗力を強くするために出している熱なので、それを無理やり解熱剤で下げてしまうと逆に抵抗力を落とすこともあります。ただし、生後2~3ヵ月未満の乳児期早期の発熱はお母さんからもらった免疫よりも、さらに強いウィルスや細菌による可能性があるので、速やかな対応が必要になります。

~発熱時の対処方法について~

お子さまの手足などの末梢が冷たく、悪寒や震えなどの症状がある際はとにかく身体を温めてください。そして、手足などの末梢が熱く、悪寒や震えが消失したら、動脈が体表面近くを通っている頸部(頸動脈)や腋窩(脇の下)、鼠径(足の付け根)の部分を冷やすと熱が下がります。子どもの冷罨法には小さい保冷剤がちょうどよい大きさです。保冷シート「冷えピタ」や「熱さまシート」は熱を下げる効果はありません。爽快感を与える効果はありますのでご使用ください。

冷却部位

また昔は「食べないと熱がさがらないわよ」って、とにかく栄養を摂るようにいわれていましたね。けれど、熱がでているとき体はウィルスと戦っているときです。体はウィルスと戦うことに集中したいのに、食べ物が入ってしまうとそちらにエネルギーがとられてしまって、ウィルスと戦うことに集中できなくなってしまいます。発熱があるときは、消化の良い食べ物・おかゆやすったリンゴくらいが丁度いいです。食べたくないようなら、無理にたべさせる必要はありません。水分だけは、しっかりとらせてあげてください。

また、熱があったらお風呂はどうでしょうか?という質問もよく聞かれます。発熱時の入浴の可否については、科学的根拠を示すことがないのが現状です。入浴による体力の消耗も懸念されますが、入浴によって良好な睡眠を得られる可能性もあるので、ぬるめのシャワーまたはお湯に短時間つかることは悪くないとお伝えしています。