ばね指

最近、第4指、第5指を伸ばすときにひっかかって伸びない。

伸ばそうと力を入れ続けると、ぱちっとなって伸びる、

との訴えの患者様がいらっしゃいました。

 

 

似たような病気で、

乳児に認められる握り母指症については下記の通りにご説明したことがあります。

それとはやや異なるばね指の言われるものです。

 

小児には比較的少なく珍しいと言えます。

 

日本整形外科学会のホームページを改変して以下の通りご説明します。

 

(どうして起こるか)

指は腱によって曲げ伸ばしをすることができます。

手を握ったりする強い力を発揮する筋肉は前腕にありその力を腱が伝えます。

その通り道で指を曲げる屈筋腱が浮き上がらないように押さえているのが靱帯性腱鞘と呼ばれるものです。

この靱帯性腱鞘は指に部分にありますが、それが終わる指の付け根付近に力がかかり炎症を生じやすいところがあります。

その部分の腱や腱鞘が炎症を起こし、“腱鞘炎”になり、さらに進行すると引っ掛かりが生じばね現象が起こります。

これを“ばね指”と呼んでいます。

 

 

(原因と病態)

更年期の女性に多く、妊娠出産期の女性にも多く生じます。

手の使いすぎやスポーツや指を良く使う仕事の人にも多いのも特徴です。

糖尿病、リウマチ、透析患者にもよく発生します。

母指(親指)、中指に多く、環指、小指、示指にもよくみられます。

指の使いすぎによる負荷のため、動かすたびに摩擦のために炎症が進み、

腱鞘が肥厚したり、腱が肥大し、通過障害を起こすために一層症状が悪化します。

 

(治療)

保存的療法としては、局所の安静(シーネ固定も含む)や投薬、腱鞘内ステロイド注射(特にトリアムシノロンは有効)などがあります。

この注射は有効で、おおむね3ヵ月以上は無症状なことが多いですが、再発することも少なくありません。

改善しないときや再発を繰り返す場合は、腱鞘の鞘を開く手術(腱鞘切開)を行います。

切開するのは腱鞘の一部だけです。小さな傷で済みます。

 

小児には珍しいですが、ゼロではないので、お困りの際はおたずねください。

 

追伸:今日は寒かったですね。寒暖差が嫌になります。