魚の骨が刺さった!
舌下免疫療法をして落ち着ていましたが、ここ数日はさすがに目が痒いでね。
花粉症の皆様一緒に頑張りましょう!(何を?)
当クリニックのスタッフには花粉症がほとんどいないため、中々共感が得られません。
「目が痒いって、よくわかりません。」
「・・・。」

最近魚の骨がのどに刺さったお子様が来院されました。
小児科では中々刺さった骨を直接喉の診察で確認できないため、
「魚を食べた後、喉が痛い。」
「魚を食べた後、喉に何かひっかかった感じがする。」
といった魚の骨がひっかかったことをうかがわせる症状を訴えることができない小さなお子様の場合、
中々診断が難しいです。
魚の骨(魚骨)が刺さった場合の対応につき簡単にご報告します。

東北大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野香取幸夫教授らの報告(2021年8月17日)によると、

患者さんの年齢は乳幼児が最も多く、0~4歳が全体の25.9%を占めていました(図1)。
骨が刺さっていた部分は口蓋垂(こうがいすい、いわゆる「のどちんこ」)から舌根(舌の付け根の部分)にかけての中咽頭領域が87.4%と大多数を占め、特に口蓋扁桃(いわゆる「扁桃腺」)に刺さっている症例が多いという結果でした。
小児科の口からの診療でも見えるはず???

魚の種類はウナギの仲間(ウナギ34例・アナゴ3例・ハモ2例)が14.4%と最も多く、
次いでサバ12.2%(33 例)、サーモン 12.2%(33 例)、アジ 11.1%(30 例)、カレイの仲間 11.1%(カレイ28例、ヒラメ2例)であり、
ウナギを除いては家庭での生鮮魚介消費量の多い魚が主な原因となっていました。
魚骨異物を確認した 270 例のうち、
12.2%(30 例)で、診察中に骨が自然に脱落しました。
残りの 240 例で摘出術が行われています。(図 2)。
54.6%(131 例)が口腔から直接摘出、
42.9%(103例)が内視鏡下での摘出手術、
2.5%(6例)が全身麻酔下の手術でした。
12歳以下の小児例は139例で、
中咽頭領域に骨が刺さっていた症例が 99.3%(138 例)を占め、
内視鏡下摘出術を要した症例は 22.3%(31例)でした。
やはり、小児科の口からの診療でも見えるはず???
様々な魚の種類の中で、カレイ・ヒラメの骨は、
下咽頭や食道に骨が刺さる頻度が高く(30%)、
自然に脱落することが少なく(9.1%)、
内視鏡下摘出術や全身麻酔下での手術が必要になる症例が多い(65.5%)
そうです。
(対処法は?)
こどもの頃に魚の骨が刺さったらご飯を丸呑みしなさいと言われた記憶ありませんか?
私もこどもの頃やっていました。最近も?
ご飯を丸呑みすることで、かえって骨が深くまで刺さってしまうことがあります。
是非やめましょう!
あきらかに指の届く範囲に浅く刺さっているのであれば、ピンセットで抜いてあげてもよいかもしれません。ただ無理はしないでください。
刺さった骨を放置すると、刺さった部位に炎症もしくは進行すれば感染を起こす可能性があります。放置はしないでください。
基本的には病院は受診していただいたほうがよいかと思います。
急ぎませんので日中耳鼻科受診をお願いします。
ただ、下記のときは、緊急で受診が必要です。夜間や土日であっても、救急外来を利用してください。
・ブリやタイなど、太い骨が刺さった
・痛みがひどい
日本耳鼻咽喉科学会の推奨は「ごはんなどの『丸飲み』は、骨がさらに深く刺さる危険があり、勧められません。骨を吐き出すことが出来ない場合は、速やかに医療機関を受診してほしい」です。
お困りの際はいつでもクリニックにご相談下さい。