PFAPA症候群

当院の宮城医師の「第19回ママパパ子育てサロン:みんなはどうやってうまれてきたかな?」に感動した理事長淺野です。素晴らしい! またご報告いたします。

最近、インフルエンザ、新型コロナウイルス、溶連菌、他の流行で1月に1回等頻回に熱を出す患者さんが増えています。

多くはインフルエンザ他ですが、稀にPFAPA症候群と言われる病気が隠れていることがあります。

以下に簡単にご説明します。

(どんな病気?)

周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・リンパ節炎症候群(PFAPA症候群)は周期的な発熱に加え、口内炎、咽頭炎、頸部リンパ節腫脹を起こす病気です。

発熱と咽頭痛等があり初期には風邪と区別がつきにくい病気です。

自然(勝手)に体の中で炎症が起こる病気を自己炎症性疾患と呼びますが、

PFAPA症候群はこの自己炎症性疾患の一つで、

自己炎症性疾患の中では最も多いと考えられています。

病因・病態は殆ど解明されておらず、他の多くの自己炎症性疾患と異なり、明らかな遺伝性も認められません。

周期性発熱症候群(発熱を繰り返す病気の総称)の中では最も多いと考えられています。

多くは5歳未満で発症し、通常4~8年程(10歳頃までに)で自然に治癒し、成長・発達障害を認めません。

(症状は?)

3-6日程度続く発熱が3-8週間ごとに周期的におきます。

また発熱時に以下の①から③の症状を認めます。

① アフタ性口内炎:舌や頬の粘膜に白い口内炎ができます。

② 頸部リンパ節炎:首のリンパ節が腫れて、痛みを伴います。

③ 咽頭炎:のどが赤くなり、扁桃腺が腫れて白苔(白い膜)が付きます。

日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会ホームページより

④ その他、腹痛などがみられることもあります。

発熱時に①から③の症状がすべてそろう場合とそろわない場合があります。

発熱していない時には症状はありません(間欠期には全く無症状です)。

また、感染症ではないため一般的に咳や鼻水はありません。

(治療は?)

PFAPAの治療は大きく3つに分かれます。予防、発熱時の治療、根本的な治療の3つです。

予防のための内服薬が2つあります。

シメチジンとロイコトリエン受容体拮抗薬です。シメチジンを内服すると3割の患者さんで発熱の期間、頻度がよくなったと報告されています。

気管支ぜんそくやアレルギー性鼻炎に使われている薬のロイコトリエン受容体拮抗薬の内服が有効とする報告もあります。

発熱時にはステロイドを内服すると、速やかに解熱します。これはPFAPA症候群の特徴のひとつであり、発熱時にステロイドを内服して速やかに解熱することを診断の根拠の一つとすることもあります。

ただステロイドを使用すると発作の周期が短くなるというデメリットもあります。

現時点で最も発熱発作に有効な治療は扁桃摘出術(手術で扁桃腺をとる)です。この方法では7-9割の患者さんが発熱しなくなるといわれています。手術は全身麻酔で行う必要があり、少なからず体への負担が生じるため、10歳頃までに自然に治る病気でもあり、慎重に検討する必要があります。

お困りの際はいつでもクリニックにご相談下さい。