肛門周囲膿瘍
風が強い日の寒さが身に染みる、理事長淺野です。
最近肛門周囲の腫脹を訴えるあかちゃんが連続しました。
肛門周囲膿瘍と言われる病気です。
以下日本小児外科学会ホームページの改変です
(どうやってできるか?)
肛門のまわりが赤く腫れて膿をもつようになる病気を肛門周囲膿瘍といいます。
肛門の奥の粘液を分泌するくぼみ(肛門腺)や、その他の病気の深い潰瘍からの炎症が、肛門周囲の皮膚に及び、細菌が繁殖し肛門周囲膿瘍が形成されます。
さらに、皮膚を穿破すると痔瘻と言われます。
(誰にいつできるの?)
乳児にできる痔瘻(乳児痔瘻)は、男の子に多いといわれています。
生後1ヶ月前後から1歳位の乳児期の赤ちゃんに比較的良く見られる病気で、決して珍しいものではありません。
原因は乳児期の不完全な免疫力が関係していると言われています。
肛門周囲膿瘍はしばしば乳児期の赤ちゃんが、下痢や軟便が続いた後に肛門のまわりが赤く腫れて膿をもつようになって起こります。
赤ちゃんは痛みのために機嫌が悪くなり泣くようになります。
当院で拝見した赤ちゃんも非常に不機嫌でした。
(治療は?どの様な経過をたどるの?)
以前は抗生剤の内服や外用治療を行って、膿が溜まるとその部位を切開して膿を外に出す治療が行われていました。
最近は、漢方薬による治療で肛門周囲膿瘍が良くなることがわかってきており、当院でも以下のような漢方治療を中心に行っています。
1 排膿散及(はいのうさんきゅう)湯(とう)
鎮痛作用・排膿作用。赤く腫れて痛みが強い急性期に内服します。
2 十全(じゅうぜん)大補(たいほ)湯(とう)
腸の免疫強化作用。排膿して腫れが引いてきたところで再発を予防する目的に内服します。
乳児痔瘻による膿瘍は再発を繰り返すことが多いので、場合によっては成人の痔瘻と同じような手術をしなければいけないときもあります。
この病気は赤ちゃんが1-2歳になりますと自然に治ることが多いようですが、まれに2歳以上になっても残ることがあります。
お困りの際はクリニックでおたずねください。
一般的に、風速1m/sで体感温度が1℃下がるそうです。
つまり、気温が10℃の時に風速が10m/sだと、体感は0℃という計算になります。
寒いわけです。