溶連菌(A群溶血性レンサ球菌)感染症 ②
川越祭りのお囃子が賑やかでしたね。理事長淺野です。
溶連菌感染症(以下GAS)については一度ふれさせていただいています。
先日ご報告した通りGASが増えています。
これに伴い保育園の1歳クラスでGASが流行っているので検査してもらえませんか?
とのご希望を頂戴します。
GAS迅速検査は3歳未満で一般に行われません。
理由は下記になります。
急性咽頭炎(のどかぜ)と診断された患者のうち、GAS陽性例は日本における報告では16.3%、
海外における報告では27%とされています。のどかぜでGASはそもそも稀です。
更に一般的にGASによる急性咽頭炎は、5歳から12歳で頻度が高く、
3歳未満児においては比較的稀とされています。
GASによる重大な合併症はリウマチ熱(リウマチではない!)と溶連菌感染後急性糸球体腎炎です。
3歳未満ではそもそもGASに罹患しても重大な合併症であるリウマチ熱の発症が稀です。
GAS時に抗生剤治療をする大きな目的であるリウマチ熱の予防は意味を成しません。
また、抗生剤投与が溶連菌感染後急性糸球体腎炎の予防を証明した研究は今のところありません。
溶連菌感染後急性糸球体腎炎は抗生剤投与有無に関わらず成るときにはなるし、
成らないときにはならないのです。
咽頭(のど)培養から検出されるGASのすべてが急性咽頭炎の起因微生物ではなく、
無症状の児の10~30%にGAS保菌(菌はいるけど症状に対して意味がない)が認められます。
つまり迅速検査をして陽性でも意味のないGASの可能性があるのです!
これらから一般に3歳未満ではGASの検査は行われません。
GASを強く疑ったときには検査を行います。
どの様なときにGASを疑うかというと
猩紅熱様皮疹(紙やすりのような赤い点状の皮疹)を認めるとき、
軟口蓋(のどちんこの周囲)の点状出血斑を認めるとき等です。
鼻汁や咳の存在はウイルス性を示唆するため、GAS咽頭炎を疑わなくなります。
これらの事実から当院でも強くGASを疑わない限り、原則3歳未満にはGAS迅速検査は行っておりません。
ご理解を賜れますと幸いです。
息子(野球)・娘(受験)頑張れー!!!。