赤ちゃんを百日咳からまもろう:妊婦さんに対する三種混合ワクチン

 

段々暑くなってきましたね。

GWでお出かけの際は熱中症に気を付けましょう。

理事長淺野です。

 

 

百日咳の話題が非常に多くなっています。

当院のブログでもふれさせていただきました。

 

ブログの最後の方にふれた予防が今後重要になります。

 

現行の定期接種は生後2か月から開始され、

0歳代に3回と1歳を超えて1回の追加接種の計4回接種であり、

それ以降の追加接種は設定されていません。

そのため、抗体が減少してくる幼児期から学童期では4回のワクチン接種を受けているにも関わらず

感染する場合があります(百日咳抗体はすぐに減少してしまいます。5年程度)。

症状は軽いことが殆どです。

問題なのは、本人に大きな問題はないのですが他者にばらまいてしまうことです。

特に生後2カ月未満の5種混合ワクチン未接種のお子様にばらまいてしまった場合は非常に厄介です。

最近も2名の死亡例(いずれも生後2か月未満の小さなお子様です)が出ています。

 

百日咳に対する免疫を持続的に強化するための対応として

「日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール」では、

任意接種となりますが、

・就学前に3 種混合ワクチンを、

・現在11~12歳の定期接種となっている2種混合ワクチンの代わりに

3種混合ワクチンの接種を推奨してます。

 

(以下KANSEN JOURNALより)

ただ、海外の発生動向を見ると、追加接種回数を増やすだけでは

百日咳の流行を抑えるには不十分であることが分かってきています。

そこで、現在早期乳児への感染対策として注目されているのが

妊娠後期の妊婦への予防接種(妊娠ごとに毎回)です。

母体から赤ちゃんに抗体が移行して出生後の赤ちゃんを守ることになります。

アメリカやイギリス、ニュージーランドなどで導入され、高い効果を示しています。

ニュージーランドの調査では、百日咳の流行があっても

妊娠後期にワクチン接種を行った母親から産まれた新生児では百日咳の発症は1例も見られていません。

ただ、諸外国で妊娠後期に接種されている成人用のTdapは日本では未承認です。

日本で発売されている3種混合ワクチン「トリビック®」も成人に接種可能ですが、

添付文書には

「妊娠中の接種に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している

可能性のある婦人には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ

接種すること」

と記載されていています。

ただ、これに対しては、

「妊婦に対する百日咳含有ワクチン接種の安全性に関する疫学調査:静岡study」

が行われ、

「妊婦における百日咳含有ワクチンの安全性について、特段の懸念を認めなかった」

と結論づけていますので接種しても問題ありません。

 

当院では妊娠27週から36週の妊婦さんに三種混合ワクチン(トリビック)を接種しています

(自費での接種になります)。

 

ワクチンがある感染症で死亡例を出してはいけません! 

積極的なワクチン接種を進めましょう!

 

2か月未満の小さなお子様を百日咳から守るために(いずれも自費接種になります)、

➀妊娠27週から36週の妊婦さん、三種混合ワクチンをうちましょう!

②年長さんのMRワクチン・おたふくワクチン接種時に三種混合ワクチンもうちましょう!

③11歳から12歳でうつ二種混合ワクチンを三種混合ワクチンに変更しましょう!

 

お困りの際はいつでもクリニックにご相談下さい。